
高すぎる国民健康保険料にお悩みのフリーランスの方は、マイクロ法人のことを知らないと損する可能性があります。
上がる一方の社会保険料をセーブしたい方は、ぜひお読みください。
この記事は、次のようなフリーランスの方にぴったりな内容です。
- 高すぎる社会保険料(国民年金と国民年金基金と国民健康保険)で悩んでいる
- フリーランスを廃業し、法人化を視野に入れている
- マイクロ法人のことを知って、法人成りすべきか迷っている
- 年金保険制度に頼らず、自分で力で老後の切り開きたい
さんざん苦労して調べ上げた挙句、実際にマイクロ法人を作ったばかりの私が詳しく解説していきます。
家一軒を買えるだけ社会保険料を払ってきた
まず最初に知ってもらいたい。
わたしはフリーランス20年で社会保険料を1,500万円近く払ってきました。
その年の所得額や年金基金の支払い額によりますが、毎年100万円近い出費にもなっていました。理不尽とも思える高い税金です。
払ったものは仕方ない。後の祭りってやつです。

すでに社会保険は崩壊していると言われています。
受給する年齢は先延ばしになったり、受給額が下がったり、そんなニュースばかりではありませんか?
健康保険にしても、なぜ年に一度も病院にもいかないのに、ちょっと所得が出たというだけで年間何十万円という大金を払わなければいけないのでしょうか?
国民健康保険をたくさん払いたくないから、利益を減らすために経費をたくさん使った方が良い?
フリーランスという働くスタイルでは、自分のことは全て自分で守らなければなりません。不安定な仕事だからこそ、キャッシュリッチにしておいて、仕事がないピンチな時に備えなければなりません。
そのためにも節税する知識を身につけたいですね。
家一軒買えるだけ払った後で、こんなことを書くのも皮肉なものです。
ちなみに国民年金については「林修の今知りたいでしょ!」という番組の年金の回を見た時、明治大学の教授で経済学者の飯田泰之さんが大変腑に落ちることを言っていました。
「年金は働けなくなった時にもらえる保険」
自分は働くこと自体は好きなので、年金については良いこと知ったという感じになりました。

重くのしかかるフリーランスの社会保険料の負担
フリーランスをやって軌道に乗ってきたら、頭を悩ませるのが社会保険料。
前年の所得にかかってくるので、確定申告後のタイムラグがあるし、いくらくるのかも書類が送られてくるまでドキドキ。
国民健康保険料は年金と違って、掛け捨てだから多く払うのも痛い。
なぜ自分のおこずかいよりも税金の方が多いのでしょう?
こんなにたくさん払っていると、誰のために働いているのかわからなくなります。

フリーランスの場合は、売上が増えて所得が増えると、一番やっかいなのが国民健康保険料の請求がガツンとくること。ちょっと所得を出すと月5万円以上の負担にもなるから、たまったもんじゃない。
これを読んでいる皆さんも痛感している、自営業あるあるでしょう。
所得税や住民税はたいしたことないけど、国民健康保険料の負担が激重なのです。
しかも前年の所得にかかってくるので、売上が落ちた時は大変です。そうなると

利益を出すよりも経費をたくさん使った方がマシ?
いやいや売上が不安定なんだから、キャッシュの流出は防ぐべきだ!
みたいに、なってしまいます。
苦労して稼いだお金が、どんどんむしり取られるような感覚ではないでしょうか?
法人になるべきか、ならないべきか?
フリーランスになって食えるようになって何年かすると、そう考えはじめるものです。

実際に私は税務調査を受けましたが、経費をたくさん使っても否認されて修正申告されてしまいます。
たまったものではありませんが、フリーランスは会社に比べてあらゆる面で弱い立場だと知りました。経費がすべて認められるとは限らないと知っておきましょう。
会社にすると経費として認められる範囲が広がります。
税務調査受けてわかったのは、将来のための研究開発の投資を費用として認めてもらうには会社化するしかないということでした。
目先のことしか考えていなければ、出費は少なくすみますけど、後々お金を生むことが経費にならなければ、10年、20年後は生き残っていけません。
自分はここがマイクロ法人を作る後押しになりました。
インボイスどうしよう?→税務調査→いろんな経費否認→フリーランスの待遇に不満→法人設立
これに加えて昔から「社会保険料が高すぎるぞ不満」がマグマとなって行動したという感じ。
実際に税務調査を受けて人それぞれの判断になりますけど、経費に対する認識が変わると思います。

法人成りする目安の考察
「売上いくらになったら、法人にしたらいいのだろう?」
法人にすべきか検討している人なら一度は調べたことがあると思います。

自分は1,000万円もないし、法人になったら税理士をつかうと経費の負担が大きくなるから会社にするのは止めだ。
フリーランスから法人になるには1,000万円の売上が目安と言われていますが、実際はそうでもないです。
なぜならいろいろと世の中の事情が変わってきているからです。
税理士へ頼まないといけないのか問題
法人になると納税申告作業が複雑難解になるので、税理士に頼む必要が出てくると言われています。普段の記帳やら申告作業で最低でも年間三十万円以上はかかるのが一般的。
30万円とはいえ、1,000万円くらいはないと負担が大きいです。
うーん、なんか面倒くさし余計なお金がかかるから「フリーランスのままでいいや」となります。
freeeには税理士に税務調査に立ち会ってもらえる申告プランもあります。
いつかやってくる税務調査も不安な方は、これで対応できますね。
追い打ちをかけるように、消費税についてはインボイス制度のせいで、売上1,000万円以下の事業者でも申告しなければならなくなりました。
フリーのままでいても税理士に頼まずに消費税は自分でやらなければなりません。
フリーのクリエイターはインボイス登録しなければ実質的に仕事は干されてしまう運命なので、1000万円未満の消費税免税事業者というメリットがなくなったも同然です。

お金がかかっても税理士に頼むか、お金をかけずにfreeeのような会計ソフトを使いこなすか?
何かを決断するのにはこういうイベントも後押ししてくれるのです。
実際にfreeeという会計ソフトを使いましたが、いままでより遥かに経理が楽になりました。

所得税と法人税の違い
フリーランスから法人になると何が変わるのかというと
所得税→法人税
になります。
法人税の申告は、所得税の申告より面倒になって、敷居が高くなるのも特徴です。
つまり税理士などの専門家の力が必要ということ。
所得税と法人税の税率の違い
所得税は、最低税率が所得が1,000円から1,949,000円まで5%かかります。
そこから段階的に税率が上がっていき最大45%(地獄!)もとられます。
(もし所得を190万円を申告したら、それでも国民健康保険料はだいたい30万円くらいかかる)
法人税は、23.2%(中小法人では所得のうち年800万円以下の部分は税率が15%)。
所得が低いうちはフリーランスのままでいた方が得というのは、この税率の違いによるところが理由のひとつ。
いくら利益を出すかによって、税額が変わってきます。
目安として100万円の利益だったら、
・所得税なら5万円
・法人税なら15万円

ちなみに法人なら赤字になっても赤字額を繰り越せるので、できるだけ利益を出さないように経営をしていくことでキャッシュの流出を防ぐことができます。
利益がむちゃくちゃ大きくなった場合は、所得税より法人税の方が税率が低いので、キャッシュの流出を防げます。
しかも個人の所得ではありませんから、翌年の国民健康保険料を心配する必要はない。
会社の利益を出すと法人税がとられるので、利益を最小限になるくらいに抑えたりコントロールする必要があります。

赤字になっても容赦なくかかる法人住民税
所得税の場合は、売上から利益を差し引いた所得が0だったら、所得税はかかりません。
これが法人税だとそうもいかなくて
たとえ会社が赤字であっても、法人住民税が7〜8万円(都道府県によって違うらしい)かかります。
ちなみに函館市だと法人住民税の最低額は8万円だそうです。
この額は、マイクロ法人を作るべきかどうか判断するポイントになります。
毎年固定で8万円払ってでも、法人化した方がよいかどうかメリットがあるか、社会保険が安くなる差額や他の要素(法人の方が信用を得やすいなど)じっくりメリットがあるのか考えてみましょう。
このことからわかるように国というものは、ことあるごとに国民や企業からお金を徴収してきます。でも、文句言っても何も変わらないので諦めて力強く前に進むしかないのです。

自分の給料で決まる社会保険料
法人にすると自分が代表取締役になって、自分に給料を払うことになります。
さらに法人にして、もし自営業を廃業してしまうと完全に
事業所得→給与所得
になります。
これだと自分の役員報酬をそれなりに高く設定しなければなりません。
役員報酬が高くなると、社会保険料は高くなります。
さらに法人にすると、個人の負担だけじゃなく会社が従業員の社会保険料を半額負担しなければなりませんので、うかつに自分の給与を高くすると自分の会社の首を絞めることになってしまいます。
だから、社会保険料の負担が小さくなるようにギリギリのラインで設定しなければなりません。

結婚している方であれば、奥さんを扶養にすることができます。
扶養にすることで二人分をひとつにまとめ社会保険料を削減できます。
扶養にするには
・扶養者(奥さん)の年収が130万円以内であること
・被保険者(ご主人)の年間収入の2分の1未満
という条件が必要になります。
自己負担と会社負担の額でそれなりの額にはなりますが、それでも二人分払っているようりは少ないはずです。
ただし、あなたが会社のオーナーなので社会保険料を二倍負担することをお忘れなく。
共働きで奥さんが会社勤めしていて、扶養にしなくてよければ、最低限の社会保険料にすると二倍負担でも安い。
フリーランスの時のように、所得が増えた時、翌年の国民健康保険の心配がいらなくなるのは大きいですね。

会社経営をして人を雇うのは、とても大変なことだとわかりますね。
給料以外に社会保険を会社が負担してくれていたのですから、そこまでわかると会社のオーナーだったり経営者に感謝ですね。
ちなみに自分の場合は、法人化したらフリーランスの時より年間40〜50万円くらい安くなる計算だったので(会社の負担分をいれても)、法人住民税を支払ったとしてもメリットがあるなと判断しました。

個人事業主は廃業しないで残す
個人事業主がマイクロ法人を設立することに違法性はありません。
もし事業内容が法人と同じだと、所得を分散させているということで疑われてしまい、税務署の調査が入る可能性があります。
とうわけで
・個人事業から法人に事業の一部を分割
・個人事業そのままで法人で新規に事業を起こす
どちらかを選択することになると思います。
インボイス制度の影響で、インボイス番号なければ取引してもらえなくなるケースが増えてくるので会社はインボイス登録して、個人事業は免税事業者にしたままにするなど検討してみましょう。

もちろん廃業してマイクロ法人だけでやってもヨシ

株式会社を作る費用
私が株式会社を作るのにかかったのは、20万円くらいです。
公証人役場、法務局、市役所、税務署、社会保険事務所、銀行、都道府県事務所(自分は管轄の北海道渡島総合振興局というところ)など設立にかかったのは期間は、1ヶ月くらいです。
いろんなところへ行かなければなりませんが、いずれも書類は簡単に作れます。

ちなみに株式会社じゃなく、合同会社だと定款が不要のため、6万円〜と安く済みます。
合同会社でも社会保険に加入できます。
値段を抑えたい人は合同会社でも良いでしょうし、株主を増やし事業を伸ばしたい野心家タイプの人は株式会社など、そこはお好みで。
設立に20万円ほどかかりますが、支払うだけの価値はあるか判断してみましょう。
まとめ
- フリーランスで所得が増えると翌年に高額な国民健康保険料がかかるが、マイクロ法人を作ることで社会保険に加入できる
- 収入を給与所得にすると不意に所得が増えた時でも国民健康保険料がかからない
- 法人化しても税理士に頼まず、会計ソフトを使えば自力で申告までできる
- 赤字でも法人住民税の7〜8万円かかるのは覚悟しとけ
- 家族がいる場合は、家族を社会保険の扶養にできて少なく抑えられる
- 法人だと健康保険と厚生年金を会社が半分負担(つまり、ひとり社長だと倍)しなければならなくなる
- 個人事業主は廃業しなくてもOK。事業分割して二刀流でいけ
- 株式会社の設立費用は20万円程度
非常に判断に迷うところですが、実際に法人化してみてよかったなと思います。
なぜなら20年もフリーランスやってきて、刺激もなくなりマンネリ化していましたので、精神的にリフレッシュできた。
それに売上が増えすぎると消費税のことが面倒だから、仕事量をセーブしながらやったりもしていたし、良くも悪くもリミッターがかかって、ぬるま湯にいた状態だったと思います。いろんな事務仕事を通じて、社会の仕組みが前より鮮明にわかってきました。
いまのところ感じているのは、節税メリットは年間30〜40万円くらいかなという感じ。
それくらいの金額だったら面倒だ、と思うならフリーランスのままで良いと思います。
フリーランスの免税特典が実質的になくなった今、自分と同じようにマイクロ法人にしていく人は増えていくと予想しています。
法人化すると覚悟を決めたら、あとは動くだけです。
会社を設立する時、司法書士などの専門家に依頼すると10〜15万円ほどの手数料がかかりますが、Freee会社設立やマネーフォワード クラウド会社設立というオンラインサービスだと会社設立に必要な書類が無料で作れます。
さらに電子定款で普通の定款より3.5万円安くなります。
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実際に自分も手続き開始して、2〜3週間くらいで法人化できました。

私の場合は、会計ソフトの進化が、法人設立を後押ししてくれました。
法人税の申告はもちろん、レシートをスマホで撮影するだけで自動で日付や金額、インボイス番号、さらに勘定科目まで判断してくれますので、まさに経理革命です。
法人成りした人におすすめの会計ソフト3選
いまの会計ソフトでインボイス制度や電子帳簿保存法への対応は必須になり、法改正にもスピーディーかつ柔軟に対応できる技術力と将来性が、会計ソフトを選ぶポイント。
さらに実際に法人化して経理作業して痛感しているのが、レシート取込アプリがものすごく便利だということ。これなしの会計ソフトはありえないというレベルです。
会計事務所への外注代や事務員の給料が不要なくらい、劇的に作業が楽になりました。
スマホで経理ができるすごい時代です。
やったことがない人は、面倒でも一度体験してみるとよいです。
以下3社が、レシート取込アプリ、インボイス制度、電子帳簿保存法に対応している会計ソフトです。
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理由は、利用料金の安さ、それと標準で請求書と見積書を発行できる機能があったからです。経費精算の機能がないので、少し使いづらさを感じていますが、許せる範囲です。
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そして、他社にも機能としてありますが、スマホでレシートを読み込んで、仕訳をカンタンに入力できるので、事務作業が大幅に楽になりました。
ソファーに横になりながら経理ができます。